C 取り扱い方
CARE & TREATMENT

C7 保存方法

How to keep the best condition 2

前のページで保存による違いについて触れましたが、実際にどのように保存すれば良いのでしょうか?

私は今までに集めた楽器の状態や保管方法などは買うときに、わかる範囲で聞いてきました。

この楽器はどこにあったのか?何時頃、どんな状態であったか?などを知ることは非常に重要だと思えたからです。

そこで1つの結論にたどりついたのですが、意外な条件でした。


上の写真を見て下さい。

左から1960年代、1910年代、1930年代、下が1980年代です。

ダンボール※で作られた箱によっても年代が推測できますが、それよりも、ダンボールの箱に入っている楽器は非常に状態が良いものが多いという事です。

木などで出来たハードケースやフエルトなどで張られたケースよりも、綺麗な状態のものも多く、時々目を疑います。

 

ダンボールは一見弱そうに見えますが、水がかからなければ、100年でも持ちます。

しかも、紙なので木よりも通気性は高いし、ある程度の吸湿性もあるために木が悪くなる前にダンボールが悪くなってくれるわけです。

しかもダンボールは中空構造になっているために表面が吸湿しても通気性はあまり落ちません。

さらに保温効果もあるらしいです。

 

また、木の箱は気温や湿度で割れたり、フタがよくしまらなくなったりと長い年月に耐えられなくなったものも見かけます。

従って、私は、箱のない楽器でもある楽器でも購入したらすぐに、そのサイズにあわせたダンボールの箱を作る事にしています。

湿度の高い日本でこれらを維持する上では、かなり有効だと思います。

持ち運びには使えませんが、作るのは簡単だし、費用はかからないしとメリットは大きいです。

箱の中

箱の中にそのまま楽器を入れても良いのですが、さらに、和紙のような通気性の良い紙を入れて軽く包んでおくのが良いと思います。これも、ダンボール箱と同じで吸湿をしてくれるからです。

昔の人はよく弦が錆びないように油紙で包んだそうですが、1年に1回交換するぐらいのつもりであれば新聞紙などでも良いのかもしれません。

そう言えば、昔の弦を入手すると、パラフィン紙や油紙に包まれています。

 

上記の方法は大きなハープには使えないにしろ、アイリッシュハープなどのラップハープでもかなり有効です。

戦前のアイリッシュハープでも布に包まれたものよりも、はるかに綺麗な状態で保存されたものがあるそうです。

※(1920年代より前はダンボールよりもカードボード(厚紙)の箱が主流でした。)

 

なお、上記の保存の場合の前にはC2 お手入れをしておいた方が良いです。

またいくら良い箱を作ったとしても、C6 経年変化に書いたようにある程度の部屋自体の湿度も重要です。


さらに、これらのハープの場合弦を上にして平行に寝かして置いておきます。

斜めに置いたり、垂直に立てて置いても良いのかもしれませんが、木の反りやねじれを防ぐという説もあります。

本当のことはわかりませんので、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

 

 

 

100年経つと、箱はボロボロ・・・・

でも、中身はかなり良い状態で保護されます。

 

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